6人が本棚に入れています
本棚に追加
真佑巳が珠希の隣に並ぶ。
珠希が私の方を振り向いてふわっと笑う。
珠希に肩を叩かれた佐藤一弥が、珠希の向こう側から顔を覗かせてぺこりと頭を下げる。
佐藤一弥に何か話しかけられた真佑巳が、私を振り返った。
──真佑巳。
さっき真佑巳に手を振って、ホントのさよならができた気がするよ。
すごく、すごくドキドキして、これが恋なんだって教えてくれた男の笑顔を目に焼き付けて、私は窓に向き直った。
バッグから携帯を取り出し、織人にメールを送る。
[終わったよ。
お迎えお願いします。]
すぐに返事が届く。
[了解。5分で着く。待ってて]
やっぱり近くまで来てくれてたんだ。
私は自然に笑顔になり、荷物を手に立ち上がった。
また一組の披露宴が終わったのだろう。
ロビーは多くの招待客でうめつくされ、喧騒に包まれていった。
最初のコメントを投稿しよう!