‡ かけがえのないもの ‡

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    真佑巳が珠希の隣に並ぶ。 珠希が私の方を振り向いてふわっと笑う。 珠希に肩を叩かれた佐藤一弥が、珠希の向こう側から顔を覗かせてぺこりと頭を下げる。 佐藤一弥に何か話しかけられた真佑巳が、私を振り返った。 ──真佑巳。 さっき真佑巳に手を振って、ホントのさよならができた気がするよ。 すごく、すごくドキドキして、これが恋なんだって教えてくれた男の笑顔を目に焼き付けて、私は窓に向き直った。 バッグから携帯を取り出し、織人にメールを送る。 [終わったよ。 お迎えお願いします。] すぐに返事が届く。 [了解。5分で着く。待ってて] やっぱり近くまで来てくれてたんだ。 私は自然に笑顔になり、荷物を手に立ち上がった。 また一組の披露宴が終わったのだろう。 ロビーは多くの招待客でうめつくされ、喧騒に包まれていった。        
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