‡ わすれもの ‡

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    「織人くんの言葉がアキラの心に響くのは、織人くんが誰よりもアキラのことを理解してるからだよ。 離れていても、いつだってアキラのこと思ってたんだよ。 アキラもそれが解るから、自然と泣けてくるんだよ」 「…………」 「ほーら、またうるうるきてるし」 直子は笑いながら私の頬をつつく。 「うるさいよ」と言いながら、私も思わず頬を緩めた。 ──織人。 どうしよう。私、変だよ……。 胸がすごく痛い。 「アキラに謝らなきゃならないことがあるんだ」 真顔に戻った直子が携帯を開き、画面を私の方に向けて手渡した。 「なに?……見ていいの?」 「うん。読んで」 ──From M [さすがに悔しいからアキラには言えなかったけど あの男とアキラが並んで歩いてるとこを見て 俺より似合ってるって思った うまく言えないけど負けたなって感じ もしアキラがいつまでもぐずぐず悩んでいるようなら 直子さんから言ってやって 誰にも遠慮するな 自分に嘘はつくなって] 「これ……」 「真佑巳くんからのメールだよ」      
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