‡ 3年後の私 ‡

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      婚姻届を無事提出し、市役所を出る。 車に乗り込み、人目のないことを確認して、短くキスを交わした。 お互いしたくてしたくせに、照れてくすっと笑いあう。 「なんか……実感湧かないな」 サングラスを掛けながら織人が言う。 「そうだね」 「真っすぐ帰る?」 「……んー。 コンビニ寄って」 「いいけど?」 織人がサイドブレーキを解除しながら、不思議そうな顔で私を見た。 「なんかね、すごく苺牛乳が飲みたい気分なんだ」 「了解。行こう」 「うん!」 ほんのちょっと窓を開ける。 さわやかな風が入ってくる。 「田浦のこと……。 あれでよかった?」 織人がさり気なく聞いてきた。 私は躊躇なく応える。 「うん。 すっきり。 嘘みたいに吹っ切れたよ。 ありがとね」 「そうか。……よかった。 陽、田浦に気付いてなかったみたいだから無視してもよかったんだけど、俺も区切りを付けたかったからさ」 「うん。解ってる。 無視しないでくれてありがとう」 私は織人の横顔に笑顔を向ける。 けして田浦を責めることなく、控えめな言葉と態度で、織人は私の胸に残っていた刺を抜いてくれた。        
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