壱 異常

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「っ……ご、ごめん。なんか、凄く気分が悪いんだ。僕、帰るよ。ごめんね」  絆創膏とポケットティッシュを唯に渡すと、僕は立ち上がって早足で出口へ歩く。  帰ろうとする僕に気づいたのか、力斗が僕に何か話しかけている。だが、何を言っているかは分からない。頭が痛い。腕が痒い。 「うぁ……」  外に出ると、更に悪化した。空腹に似た吐き気が僕を襲い、思わず口を押さえる。  街には少し人だかりができている。仕事帰りや下校の寄り道。様々な理由だろう。むわっとした、汗や香水や脂が混ざったような臭い。痛い、痒い。  人だかりを掻き分けて、僕は走った。道中、何度も吐き出しそうになったが、こんなところに居たくはない。  人の居ない場所へ。無我夢中で走った。
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