18人が本棚に入れています
本棚に追加
「っ……ご、ごめん。なんか、凄く気分が悪いんだ。僕、帰るよ。ごめんね」
絆創膏とポケットティッシュを唯に渡すと、僕は立ち上がって早足で出口へ歩く。
帰ろうとする僕に気づいたのか、力斗が僕に何か話しかけている。だが、何を言っているかは分からない。頭が痛い。腕が痒い。
「うぁ……」
外に出ると、更に悪化した。空腹に似た吐き気が僕を襲い、思わず口を押さえる。
街には少し人だかりができている。仕事帰りや下校の寄り道。様々な理由だろう。むわっとした、汗や香水や脂が混ざったような臭い。痛い、痒い。
人だかりを掻き分けて、僕は走った。道中、何度も吐き出しそうになったが、こんなところに居たくはない。
人の居ない場所へ。無我夢中で走った。
最初のコメントを投稿しよう!