暴食の宴

弐 食欲

　瓦礫や椅子が散乱している。窓ガラスは割れ、壁にはヒビが入っていた。

　この教会、どうやら廃墟のようだ。

　だが、この教会の中にいれば、少しは寒さをしのげそうだ。

「おじゃまします」

　廃墟でも言っておいた方がいいだろう。なんとなくだが。

　割れたステンドグラスから、月明かりが差し込む。埃まみれの絨毯には、祭壇の上の十字架の影が映っていた。

　その光景は、どこか神々しく、現実離れしたもので、思わず見惚れてしまいそうだ。

　もっと近くで見てみたい。歩を進め、祭壇へと近づく。