弐 食欲

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 美しい金髪のロングヘアー、整った顔立ち、引き込まれるような赤い瞳。年齢は僕よりも少し下だろうか、とてもかわいい。  衣服は拘束具を思わせるような白と黒のデザインで、露出は控えめだ。だが、ふふ、それがいい。  しかし、彼女は血だらけだった。  頭や腕から血を流し、地面にぽつぽつ垂らしている。衣服が破けた所から覗く肌は、肉が抉られている。 「……」 「どうした、早く逃げろ……」  彼女の催促で、僕は我に返った。  完全に見惚れていた、釘付けだった。先程までの教会の光景なんて、どうでもいいと思える程に。  この胸に湧く思いは何だろうか。
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