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「ほう、こいつは人間か? お前の餌……では、なさそうだな」
男が僕に気づいたようだ。あわせたように、頭痛が酷くなる。
「ふざけるな。私はお前達と違う」
「ふん、根本的には同じ存在だろう。それにしても、人間を見ると小腹が空くなぁ」
バイザーの奥の瞳が赤く輝く。
「絶食だとか言っていたが……我慢はよくない。拘束具など、あってないような物だ」
男が自分のヘルメットを掴み、握り締めた。
ベリベリという音と共に、ヘルメットのバイザーが引き千切られた。
「うっ」
あまりの異臭に声が出る。街のものより数段強烈だ。
男は、彼女に似た顔立ちをしていた。歯がむき出しの口からは、大量のよだれが垂れている。
「ああ、腹が減った」
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