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「ここまで運ぶのは骨が折れたぞ」
声のする台所の方へと目を向けると、丁度、彼女が出てくるところだった。
彼女の顔を見て、僕はドキリとした。教会では、暗さや血でハッキリとは見えなかったのだが、やはりかわいい。
「む、人の顔をジッと見つめて、どうした」
やばい、ばれた。
慌てて言い訳しようとするも、ひゅーひゅーと空気の漏れる音しか出ない。
「……無理に声を出そうとするな。お前は喉を掻き切られたんだ。もうすぐ治る、それまで休んでろ」
は?
何を言っているんだろうか。喉を掻き切られた? はは、ありえないだろ。
もうすぐ治る? はは、ねーよ。
彼女は、ふーっと疲れた溜息を吐いてソファーに腰掛けた。よく見るとマグカップを持っている。あれ、僕のマグカップじゃん。
「そういえば、シャワーを借りたぞ。あと、包帯もだ。……ああ、ミルクもな」
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