肆 人間

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 時計を見る。  七時三十分。今日が休日でなければ、完全に学校に遅刻していた。  まあ、平日だろうと行く気はなかったが。  結局あの後から、僕は一睡もしていない。  部屋の隅に座り、嘔吐物から覗く眼球と一晩中睨み合っていた。  気分が悪い。 「うわっ、眩しいっ」  ドアを開け、入ってきたのは彼女だ。  とてとてと小走りで窓まで向かい、カーテンを閉める。
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