肆 人間

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「ふう……。さあ、気分はどうだ? 落ち着いたか?」 「……最悪だ。いったい何なんだよ。僕はどうなったんだ」  ゆっくりと、目を閉じる。  暗闇の中でさえ、視界がぐわんぐわんと歪んでいた。 「自分がよく分からない、と。……そうだな、簡単に言えば、お前の正体は屍食鬼だったんだ。つまるところ、グールだな」 「はは……。なんだよ、グールって。僕は人間だぞ……」 「いいや、違うね。お前は人間じゃない、鬼だ。それも、飛び切りレアな『共喰種』。しかし、奴らは数百年程前に滅んだと思われたのだがな……」  彼女は興奮した様子で語る。 「ふふ。実はな、私も中々にレアなのだぞ? 『純粋種』と、いうものでな。現存するのは世界に私一人だけなのだ。これはもう、レアの粋を超え、スーパー……いや、ウルトラレアだな!」 「どうでもいい……。何でこんなことに……。僕は人間だ、グールなんかじゃない」
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