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「ふう……。さあ、気分はどうだ? 落ち着いたか?」
「……最悪だ。いったい何なんだよ。僕はどうなったんだ」
ゆっくりと、目を閉じる。
暗闇の中でさえ、視界がぐわんぐわんと歪んでいた。
「自分がよく分からない、と。……そうだな、簡単に言えば、お前の正体は屍食鬼だったんだ。つまるところ、グールだな」
「はは……。なんだよ、グールって。僕は人間だぞ……」
「いいや、違うね。お前は人間じゃない、鬼だ。それも、飛び切りレアな『共喰種』。しかし、奴らは数百年程前に滅んだと思われたのだがな……」
彼女は興奮した様子で語る。
「ふふ。実はな、私も中々にレアなのだぞ? 『純粋種』と、いうものでな。現存するのは世界に私一人だけなのだ。これはもう、レアの粋を超え、スーパー……いや、ウルトラレアだな!」
「どうでもいい……。何でこんなことに……。僕は人間だ、グールなんかじゃない」
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