壱 異常

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 ゲームの電子音、メダルの落ちる音、人の会話。  様々な音が雑多に混じった、街のゲームセンター。  最新のアーケードゲームの稼働日らしく、力斗にせがまれて三人で来たのだ。  個人的にも、外は光が目に刺さり痛いので助かった。それに、少し眩暈もするし。 「しゅん君、顔色悪いよ。大丈夫?」 「あ、うん。大丈夫だよ」  ベンチに座る僕に、唯が心配して話しかけてくる。  咄嗟に大丈夫と答えてしまったが、あまり気分はよくない。 「隣、座るね」  すぐ隣に座ろうとする唯。僕はカバンを避けてスペースを広げてあげた。
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