18人が本棚に入れています
本棚に追加
会話も一段落したので、僕は力斗の方へと向いた。
難航しているのか、アーケードゲームの前で財布と画面を交互に見ていた。そして、百円を入れてプレイするも、直ぐに頭を抱えて財布と画面を見る……。無限ループに陥ってるじゃないか。
いつもおちょくってくる友人の苦しむ様を見るのは、少し楽しい。なんとなく気分もよくなる。
「あ、痛っ」
唯の声に思わず振り向く。
細い指先から血が出ていた。膝の上に文庫本が置かれている。おそらく、紙で切ったのだろう。
「大変だ。確かカバンに絆創膏とポケットティッシュが入ってたような……」
絆創膏とポケットティッシュを取り出し唯に渡す。
渡そうとした。
最初のコメントを投稿しよう!