1 ミヤ先輩

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ミヤ先輩について何年何組とか名前とか。基本情報はひとつも知らないうちから。 その存在だけは入学直後、早々に。特殊人物として心に刻み込まれてた。 俺ら、どちらも原付通学組で。 毎朝、決まった時間。自転車置き場で顔を合わせてて。 推定身長185センチ。端正な整った顔立ち。 無造作に制服を着こなして。 そして何より目を引いたのは、襟足に金メッシュを入れた紫色の髪。 なぜかヘルメットを取っても崩れることのない、トップを盛ったヘアスタイルの相乗効果もあいまって。 その頭、どう見ても紫キャベツ以外の何者でもなく。 割合、ユルい校則の高等部の中でも。ミヤ先輩の派手髪はダントツトップで目立っていて。 天然緑髪野郎の俺に、こんなこと言う資格ないかもしれないけど。 真っ赤な原付にまたがり背中にはギターケース、イヤホンで音楽を聴きながら彼が登場するたび。 毎朝ひそかに、思わずにはいられなかった。 この人の頭の辞書にはシンプルっていう言葉。 絶対に入ってないんだろうな。って。
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