1 ミヤ先輩

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入学して約一ヶ月間。あらゆるパターンで声をかけられまくってきたものの、ここまでの直球勝負は初めてで。 「…………」 そんな単刀直入に言われると。 すげー断りづらいんですけど。 心の中でつぶやき。原付のカギを手にしたまま、ひたすら俺が固まっていると。 「聞こえなかった?ナンパしてるんだけど」 2回目。 そいつが繰り返し。 めっちゃ聞こえてますって!! だから困ってるんじゃないですか!! 「あの、すみません。俺、そういうのは」 思いっきりテンションを下げながら。 人生初のナンパを容赦なく、俺が断ろうとした瞬間。 「じゃーこうしよう!俺、部長やってるんだけど、軽音部はいんない?とりあえず、一度遊びに来いよ。何組?」 「3組ですけど。今日は、ちょっと」 「わかった!放課後、教室まで迎えに行くから!てか、最初っからこうやって誘えば自然だったのにさぁ。突然、ナンパとかいわれても困るよな!」 いったい何がそんなにおかしいのか。 肩を揺らし、ひとり爆笑しながら紫キャベツ野郎は言ったけど。 もしかしてコイツ。 チャラい上に、ちょっとバカ?
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