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消えてしまいそうな小さな声で呟くと、急に抱き抱えられすぐ横のベッドに降ろされた。
上から両手を私の顔の両サイドについて覆い被さってくる。
「だから、あいつの所に戻りたい? 俺がいるのに?」
「そんなんじゃ……、ちゃんと話を聞いて、ちゃんと自分の気持ちを話してきただけです。海翔さんに相談したかったけど、色々あって出来なくて……」
目尻から涙が流れ、こめかみを伝ってシーツに吸い込まれた。
ちょうどあの頃、海翔さんも専務のお嬢さんと噂になったり、別れろと脅されたり、仕事が進まなくて残業続きで擦れ違ったり、三流ドラマのように目まぐるしかった。
「で、何て言ったんだ」
「稔とは付き合えないって言いました」
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