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父が立ち上がり、テーブルを挟んで目の前に立った海翔さんに手を伸ばす。
2人が固い握手を交わしている光景に目を疑った。
「どういうこと?」
キョロキョロと3人を見ながら、誰にともなく尋ねると、母がコーヒーをテーブルに並べながら怪訝な顔をする。
「何言ってるの? ゴールデンウィークの始めに一度いらしてるじゃない」
母によると、私が逃げ出して実家に向かっていたあの日。
先回りした海翔さんは私の実家に訪れ、トラブルのために、帰省中の私を連れ戻したいと、謝罪に訪れていたらしい。
私が実家に連絡を入れていた場合を考えた、用意周到な計画だ。
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