前途多難

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「.................わ、か.........?」 驚いたような顔をした八雲と目が合う。さっきまで虚ろを見ていた目が今はしっかりと俺を向いている。 無意識の行動だった。肩を掴んで八雲をこちらへ向かせていた。八雲の困惑した表情を目にしてから、初めて自分が動いていた事に気づく。 .........俺は、どうして.........だが、一つだけ言える事はある。 「.........俺は、お前を責めるつもりはない」 「.................ッ.................どう、して.................俺は、貴方を........神に等しい存在の貴方へ、俺は.........こんな」 「.........そこがまずおかしいんだ。お前は俺を昔から神格化し過ぎだ」 「そんな事はありません!!貴方がいなければ俺はとうに死んでいた身。命を救ってくださったお方を神と崇める事の何がおかしいと言うのですか?」 「俺はただお前が役に立ちそうだと思ったから手元に置いただけで、お前の生死や安否には何の興味もなかった。.........他の組との抗争で死んでいたとしても、きっと何の感情も湧かなかったはずだ。それくらい、俺はお前を適当に.........」 「だとしても。.........貴方が俺を拾って、救いあげてくれた事に変わりはありません。あの時から、貴方は俺の神であり絶対です」 そう言う八雲の瞳には一切の揺るぎがなかった。.........多分、俺がどれだけ何を言おうとも八雲の根本の部分は変わらないんだろうな。 「.........それだけ俺を崇めていながら、どうして俺に恋慕を?」 そう聞いた瞬間。いきなり八雲の顔が真っ赤になったかと思えば、次の瞬間にはみるみるうちに青く染まっていく。.........何なんだ、忙しいヤツだな。 「.........正直に言うならば、最初から、なのかもしれません。俺に優しくしてくれた人間は貴方が初めてでしたから。親も、親戚も.........もちろん、友人と呼べる存在もいなかった俺ですから。そもそもまともに関わったのも貴方が初めてですし」 「.........何か違う感情を履き違えているだけじゃないのか?雛鳥が最初に見た人間を親だと思い込むのと同じように.........初めて関わった人間への感情を正しく言葉にできていないだけで.........」 「.................触りたい、触れてほしい.........この手に抱きたい.................繋がりたい、と.........貴方は親に対して思いますか?」 八雲の言った意味が一瞬理解出来ずに固まる。........それは、つまり......... 「!!.........お、前は、いきなり、何を.........!!!」 「.........あぁ。恋愛事に対しては恐ろしく無知な方だと思っていましたが、流石にそれくらいの事は理解できるんですね」 「馬鹿にするな、俺だって年相応の知識くらい................」 「.........それも、この学校に来てから学んだのですか?.........いや、学ばざるをえなかったのですか?」 「.........は?それは、どういう.................ッ、ん、ゥ.................!!??」
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