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~前親衛隊隊長 夏宮和樹side~
「二人を逃がすなんて……罪は重いですよ、鳴海様?」
捕まえていた二人が逃げ出して静かになった空間に耳障りなくらいによく声が響く。
「ああ、そうですね……邪魔な方々がやっと消えました」
しれっとそう言ってのける鳴海様の顔は相も変わらず無表情で、何を考えているのか読めない。
だけど、鳴海様は間違いなく...あの二人を"助けた"
「……素直じゃないですね、鳴海様……逃がせて良かった、ぐらい言ったらどうですか?」
「何を仰ってるんですか?……私があの方々を逃がした?……何故そんな事をわざわざする必要が?」
心底訳がわからないといったような表情をする鳴海様。……この人は本当に変わらない。
「貴方は本当にひねくれた方だ……だから、友人がいないんですよ」
「そんなもの必要ないです。友人が何の役に立つのですか?メリットは?そんなもの欲しがる人が理解できませんね……まあ、貴方は違うようですが」
鳴海様のその言葉に自分の肩が一瞬震えるのを感じた。頭に一瞬で血が上ったけど、それを表には出さず、鳴海様を見つめる。
「…何故…そうお思いに?」
「……貴方が親衛隊に入ったのは、他者との繋がりを求めたから。会長を好きになったのは、大勢の人間に愛される姿に憧れたから……違いますか?」
僕が会長様を好きになったのは……単なる憧れだと?
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