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「あの、ありがとな!!」
「...何がですか?」
俺について保健室から出てきたらしい転校生が、突然礼を言い出す。俺は全く訳がわからず、立ち止まり問う。
「あのクソ......いや、副会長だっけか.......運んでくれて......俺だけじゃ絶対何もできなかったと思う。てか放置していく所だった」
「...そうですか、よかったですね。では行きましょう、真樹」
「あ、オイ、お前......その......な、名前何て言うんだ?あ、俺は水嶋雪っていうんだ。俺の事は雪でいいから、お前の」
「貴方に教える理由がありませんので」
「そ、そんな事言わないで教えてくれよ......俺、お前と仲良くなりたいんだ!!」
......仲良く......?......真樹から少し聞いてはいたが、本当に王道転校生ってこんなヤツなのか。.......全人類皆友達野郎。一回喋ったら友達ってか?ありえないな。
隣にちらりと目をやると、何故かわくわくとでも言いたげな顔でこちらを見つめる真樹がいる。
......他人事だと思いやがって......つうかどう考えても俺よりコイツのが気になるだろ色んな意味で。
「.....そうですか。では」
「う......つれないな......まあいいや、またな!!でも、絶対名前突き止めてみせるからなー!!」
背中にそんな声が降りかかる。いや、そこは諦めろよ、何だよアイツのネバーギブアップ精神。
......もしかして、どっかで選択しくったか?
そんな俺の横でニヤニヤとする真樹を見て、ものすごく殴りたい衝動に駆られた。
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