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男達がいなくなり、急に静かになった空間に、どこか聞き覚えのある靴の音が聞こえた気がしました。
「……こんな所で何をやっているんですか、貴方達は…」
呆れたような口調に驚いて思わず振り返りました。
そこには相変わらずの無表情で、警官の制服を着た鳴海彰がいました。
…………何故警官の制服を?というか何故ここに?問い詰めたい事が多すぎて言葉に詰まりました。
「彰っ、お気に召したかな?俺のコスプレ七つ道具その一!警官!普段は街の平和を守るヒーロー!!ただし夜は己の聖域をひでぶっ!!!!!!!!!!」
いきなり角から走ってきたやけにテンションの高い男を思い切り殴り付けた鳴海彰。
「……うるせぇな、ブッ飛ばすぞ。余計な事喋るな、黙ってろ」
私達に聞こえるか聞こえないかの小さな声は、確かに鳴海彰のもので。
でも普段よりも低いトーンの声や、口の悪さにびっくりしてしまいました。
…………まさか、この人は……こちらが素......なのでしょうか?普段は人格を偽って...?
なんて、頭に浮かんだ考えを、我ながらバカな事を……と自嘲気味に掻き消しました。
ですが、隣にいる那都も驚いたように……どこか嬉しそうに鳴海彰を見つめています。
「痛いよ、彰っ!!ブッ飛ばすぞっていうかもうブッ飛ばしてんじゃん!有言実行してるじゃん!!普通逆じゃない!?順番!!大事!!」
「うるせぇな、先か後かなんて関係ねぇだろ、どっちにしろ殴るんだから」
「なんたる鬼畜っっ!!でもその格好の時の決め台詞は、逮捕しちゃうゾ☆でしょ!?ほら、言ってみよう!リピートアフターミー!!」
「...刑務所送りにすんぞクズ」
「意味はあまり変わらないのに言葉遣い一つでこんなに感じるものが違うなんて!!だが!!逆に!!いい!!!」
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