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その後もギャーギャー喚くその人から視線を外した鳴海彰が、私達に視線を合わせてから誤魔化すように咳払いをしました。
「……生徒会とはいえ一般生徒の貴方達が無断外出だなんてあまりいただけませんね」
「それは…貴方だって同じでしょう。……第一貴方なんてそんな、その……珍妙な格好で外出だなんて……」
「私はいいんです。貴方達はこれから先何らかの形で人の上に立つ事になるのですから…自分の体は自分だけのものではないと自覚してください。…貴方達が何を考えているのかは知りませんが、勝手な行動は慎むべきでしょうが、バカ二人」
「………………え?」
ごく当たり前のように口にされた言葉に一瞬気付かず、流しかけてから自分達に向けられた言葉に気づきました。
「ば……バカ…?」
「それ以外にふさわしい言葉がありますか?人の趣味などに難癖をつける気はありませんが、もう少し思慮深い行動をしてほしいんですよね、考え無し二人……外出自体に文句があるのではありません。貴方達が絡まれたりして怪我でもした時に親衛隊の世話をするのが大変なんですよ……貴方達が怪我をしようが何をしようが知りませんが、私に迷惑がかかるのなら話は別です。わかったら早く帰りなさい。……いくらバカな貴方達でも、ここまでは理解できますよね?」
放心し掛けた時に紡がれた新たな暴言に目を見開きました。
そんな言葉を言われたのは初めてで……何でしょう、苛立ちよりも、その言葉が自分へ向けられているという事にただただ驚くばかりです。
……というよりも、思わず…………私は若干後ろに頭を反らしました。
その時に那都が肩を震わせているのが見えたので、多分私と同じなんだと思います。
「…………プッ…….アハハハハハハハハ!ちょ、バカとか考え無しとか……俺達にぴったりすぎでしょー!!」
堪えきれないようにお腹を抱えて笑いだした那都に今だけは共感できます。
私も思わず吹き出してしまいました。
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