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「……っ……離し、て、ください...!」
「……隊長サン……今ここで無理やり車に押し込まれるのと、自分の意思で乗るのどっちがいい?」
「貴方の車が嫌だと言っているでしょうが」
「……もー、仕方ないなぁ、隊長サン……」
ふいに掴んでいた手を離され、あきらめたのかと安心しかけた時。普段とは違い真面目な顔をした佐伯に見つめられ、少し驚いた。
瞬間、佐伯に抱きよせられ、気づくと俺は佐伯の腕の中にいた。
いきなりの展開に思わず固まってしまった。今の流れで、何で……
佐伯が俺の耳元に唇を寄せてきて、息を吹きかけたのか、熱い吐息が耳朶をくすぐる。
不快感とむず痒さに耐えきれずに体を捩るが、佐伯の拘束はゆるまない。
「……離し」
「……隊長サン、お願い……俺の車に乗ってよ……じゃないと、俺……」
「じゃないと……?」
「隊長サンが一人の時にまた危ない目に合ったらどうするの……?……俺、嫌だよ……隊長サンが痛い事されるの、見たくないよ」
今にも泣き出しそうなくらい震えた声に戸惑う。
何でコイツは、こんなに俺を気にかける?俺がケガをしても関係ないじゃないか。
「……私がケガをすると、いけないんですか?」
「……うん」
「…何故?」
「そんなの……決まってんじゃん……大事な子がケガしてるの見たい子なんていないでしょ?」
「…………大事?私が?」
「……うん。隊長サンは俺の大事な人。守ってあげたくなる、一緒にいたいって思える子だよ」
「………………私と友人になりたいんですか?」
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