日常壊滅

19/24
前へ
/473ページ
次へ
「……っ……離し、て、ください...!」 「……隊長サン……今ここで無理やり車に押し込まれるのと、自分の意思で乗るのどっちがいい?」 「貴方の車が嫌だと言っているでしょうが」 「……もー、仕方ないなぁ、隊長サン……」 ふいに掴んでいた手を離され、あきらめたのかと安心しかけた時。普段とは違い真面目な顔をした佐伯に見つめられ、少し驚いた。 瞬間、佐伯に抱きよせられ、気づくと俺は佐伯の腕の中にいた。 いきなりの展開に思わず固まってしまった。今の流れで、何で…… 佐伯が俺の耳元に唇を寄せてきて、息を吹きかけたのか、熱い吐息が耳朶をくすぐる。 不快感とむず痒さに耐えきれずに体を捩るが、佐伯の拘束はゆるまない。 「……離し」 「……隊長サン、お願い……俺の車に乗ってよ……じゃないと、俺……」 「じゃないと……?」 「隊長サンが一人の時にまた危ない目に合ったらどうするの……?……俺、嫌だよ……隊長サンが痛い事されるの、見たくないよ」 今にも泣き出しそうなくらい震えた声に戸惑う。 何でコイツは、こんなに俺を気にかける?俺がケガをしても関係ないじゃないか。 「……私がケガをすると、いけないんですか?」 「……うん」 「…何故?」 「そんなの……決まってんじゃん……大事な子がケガしてるの見たい子なんていないでしょ?」 「…………大事?私が?」 「……うん。隊長サンは俺の大事な人。守ってあげたくなる、一緒にいたいって思える子だよ」 「………………私と友人になりたいんですか?」
/473ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4326人が本棚に入れています
本棚に追加