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「なあ、今度こそ名前教えてくれよ」
「雪、やめろ。コイツに近づくな」
いきなり誰かが転校生を庇うようにして俺と転校生の間に出てくる。
.........コイツ.........確か、会計の藤堂陸だったか。何だ、もう生徒会に絡んでんのか、転校生.........早い事だな。
「陸、そんな事言うなよ!!コイツは俺を助けてくれたんだぞ!?いわば恩人なんだ!!」
俺は、どちらかといえば副会長を助けただけなのに、コイツの中では自分が助けられたという認識らしい。あながち間違いでないけど、おめでたいヤツだな.........
「騙されんな、雪!コイツはな、怜の親衛隊隊長で本当に最悪なヤツなんだよ!!人の弱みを握って脅したり痛め付けたりとかを平気でするヤツだぞ!!」
と言い出したかと思うと、俺を憎々しげに見つめる藤堂。
確かにそんな事もしたりするが、一般のヤツなんかにはした事ねぇわ。あくまで最悪のヤツへの最終の手段だ。......とは、面倒だから言わないが。
ひとまずコイツの中の俺の株はすこぶる悪いらしいという事を理解した。.........つうか、んな事どうでいいから早く転校生連れてどっか行けよ。
と、その時。歓声が響き渡った。
......これはまさか.........と思ったら。.........遠くの方から、生徒会がこっちに歩いてきているという最悪な状況だ。
「生徒会ktkr!!転校生くんを見に来たんですねわかります!!!」
向かいの席で興奮したようにビーフシチューをかきこむ真樹が心底鬱陶しい。
そうこうしている内に生徒会は転校生をめざとく見つけ、こちらまでやって来た。
「貴様が転校生の水嶋雪か?」
この偉そうな口振り.........コイツが会長か。......初めてまともに顔を見たな。......コイツの親衛隊隊長だってのに顔なんてはっきりとは覚えてなかったな...こんな顔だったのか。
「な、何だよ!?誰だお前、俺に何か用か?」
警戒する転校生をスルーした会長は転校生の頭から爪先まで品定めするように見つめた。
「.........何だよ。茜が気に入った転校生がいるとか騒ぐから来てみりゃただのもさい毛玉じゃねぇか。とんだ期待はずれだな。.........時間を無駄しちまったな」
初対面の人間相手に、会長のこの見下したような言葉。.........これが生徒のトップにいる男だから笑えるよな。
「ところで転校生」
そう言い、転校生に手を伸ばした会長の手を転校生が思い切り弾いた。
学食中に乾いた音が響いた気がした。
「......気安く触んな」
驚き目を見開く会長に、転校生は一段声を低くして威嚇するように言い放った。
......あー、ついにキレたか。確かにコイツムカつくもんな。慇懃無礼というか。
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