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それから佐伯への暴力の許可を副会長から得た俺は思い切り佐伯の腹に拳を叩き込んだ。
腹を抱えたまま地面に倒れこんだ佐伯はしばらく痙攣した後、動かなくなった。
だが、その最中もずっといい笑顔だった。何か気持ち悪かったので、地面に転がしたまま蹴っておいた。
「……では、私はこれで帰ります」
そう言い、踵を返した俺の腕をいきなり副会長が掴む。
驚きながら振り返ると、副会長も自分の行動に驚いたのか、固まっていた。
しばらく向かい合ったまま沈黙の時間が流れる。
「…………あの、よろしければ、私の車に乗っていきませんか」
「……は?」
「あ、いえ、あの…………な、那都が迷惑をかけたので……その…………それに、このままでは、貴方は那都の車に乗せられますよ…………あ、いや、その……い、嫌なら別に…………」
「……では、お願いします」
「やっぱり、嫌………………え!?……い、いいんですか!?」
「?……何をそんなに驚いているんですか……貴方が言ったんでしょう?……それに、確かに少し疲れましたし……あの人よりは貴方の方がマシですし………………聞いています?」
「…………あ、は、はい…………あ、いや、あ、し、仕方ないですね……そ、そんなに言うなら、乗せてあげますよ……!」
…………本当に何なんだコイツら……
言い返す気力ももう無くなった俺は、おとなしく副会長の車に乗り込んだ。
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