4326人が本棚に入れています
本棚に追加
車の中で、副会長は終始無言だった。
まあ、やかましく喋りまくるタイプではないしな、コイツ。
と、何気なく副会長に目をやると、副会長は真っ赤な顔で固まっていた。
「ちょっと、あの、副会長…………大丈夫なんですか?」
「……大丈夫です」
「……こんな時間に外に出るからですよ……早く帰ったら、暖かくして寝てくださいね。貴方が風邪でも引いたりしたら生徒会の運営に支障が出ますから」
「……そんな事を言うわりには、貴方さっき那都を思い切り殴りましたよね?」
「あの人はあれでいいんです。中々死ななそうな顔をしていますし。ですが、貴方は意外に繊細でしょう。あまり責任などを感じずに要領よくこなせばいいのに……何も貴方だけのせいではないでしょう」
すると、副会長が弾かれたようにこちらを向く。その目は何故それを?と問いかけているようだった。
「……見ていればわかります。貴方は良くも悪くも優等生なんですよ。もっと気軽に生きなさい。貴方がしている事を理解している人はちゃんといます。肩の力を少し抜いてみてはいかがですか?そうすれば、もっと楽しく生きられるはずですよ 」
「……貴方は……貴方は、私を見ていてくれますか?」
「……?」
「……あ、いえ……」
「…………私は、見ています。生徒会の運営を手助けする事が私の仕事ですから」
一瞬瞳をきらめかせた副会長は、俺の返答にどこか不服そうな顔をした。
「……貴方の作る資料は綺麗で読みやすいと評判ですしね。私も、綺麗な資料に目を通すのは好きですよ」
「…………え………………あ…………べ、別に貴方にそんな事言われても………………ま、まあ、誉められて悪い気はしませんが……他意はありませんからね!?」
何故か少しだけ元気になった副会長と、学園まで一緒に帰った。
……………………何か忘れてるような…………
~海~
「……あれ?……彰……俺がトイレに行っている間にいずこへ……?…………え、何か会計倒れてる……!?……ちょっと、やだ……あ、彰ーーーーー!!!!」
最初のコメントを投稿しよう!