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それだけに、こんな世界から俺を遠ざけて来た両親を憎んだりもした。
目立つ格好をしていたからか、変な輩に絡まれ出したのはその頃だ。
昔から跡継ぎとして必要だとか何とか言われてたから格闘技系は一通りできた。
そんな俺に街をぶらつくヤンキー風情が敵うはずもなく、俺の存在はあっという間に知れ渡った……らしい。
それからは街に出るたびに喧嘩三昧でいつも傷だらけで帰ってくる俺を両親は疎ましく思っていた。
俺に対して一切干渉しなくなり、存在さえもシカト。竜ヶ崎家から俺の名前が消されるのも時間の問題だった。
ただただ目的もなく街をさ迷っては喧嘩、喧嘩、喧嘩。
あの頃の俺は死んでたと言ってもいいくらいだ。
ある日親父にもう暴れるのはやめろと言われた。見苦しいし、俺のためにもならないと。
それでも俺は反抗した。何故俺がアンタの言いなりにならなきゃいけないのかと。
すると親父は言ったんだ。俺が変な事をすると自分達にも迷惑がかかるんだと。
その時、ああやっぱり自分の保身が一番なのかって。俺が心配なんじゃなくて、自分の面子や体裁だけが心配なんだって。
そう思った時には家を飛び出していた。
今回は、もう戻らない。帰る気は無かった。
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