伏兵参上

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「……あの…………助けてもらっといて申し訳ないんだが……俺には返すモノは、何も……」 「別に。見返りが欲しくて助けた訳じゃない」 「……俺は、北条桐人だ。…本当に、すまねぇ」 この姓は、俺が北条家の者だという証。幼い頃からずっとこの姓を恨んできた。 俺が北条財閥の息子だと知ったら、コイツはどんな反応をするのか…… …………バカか、俺……何を期待してんだ。コイツに何を望んでる…… 「そうか」 覚悟をして目をあげると、予想を裏切る興味の無さそうな顔が目に入った。 「…………え……そ、れだけ、かよ……?」 「……は?名前聞いただけでどう反応すればいいんだよ。いい名前だなとでも言えばいいのか」 「いや、だって俺は……」 「北条財閥の長男だろ」 「……知ってんなら何で」 「……知ってるから何だ。お前がどこの誰だろうがどんな家柄だろうが、俺には全く関係ないだろう。それとも、何か別の事を言ってほしいのか?」 ハッキリ言い切られた言葉に思わず目を見開く。 コイツは俺が誰でも、何をしていても全く気にしないのか? …………気にしないで、いてくれるのか?
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