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何も言えなかった。
俺は一人じゃ何もできない?そんなの…そんなの、コイツに何がわかる。
「っ、お前に何がわかる!!!」
「何もわからねぇな。俺はまだガキだし、一人じゃ何も…それこそ生きていく事さえできねぇ。だからこうやって出来るようになろうとしてんだよ、もしそうなったらこんな家とはすぐにでもおさらばしてやる」
「……お前、家を継がねぇのか?」
「はあ?何で」
「……だってお前は長男なんだろう?それに他に兄弟もいないなら」
「だから何だよ?俺以外にいないからって何で俺が継ぐ必要がある。家を継ぐのが血縁からなんて考え方がもう古いんだよ。そんなモノ関係なく、継ぎたいヤツが継ぐのが一番じゃねぇのか?……アンタも長男だからって深く考えすぎてんだよ。アンタが思ってるほどアンタの両親はアンタに家を継ぐように強制したりしてないだろ?」
「……え?」
「…アンタの両親が本気でアンタに家を継がせたかったら、端からアンタに逆らわせる訳ないだろ。無理矢理に、それこそ鎖に繋いででも従わせりゃいいんだ。でも、アンタの両親はアンタがこうして街に出るのを反対はしても、無理矢理止めたりしていない。…それは、アンタの両親がアンタには自由にしていいって思ってるからじゃねぇのか?……アンタが街に行くのを止めようとしたのだって、アンタを危ない目に合わせたくないから……そうとは考えられないのか?」
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