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どいつもこいつもどうやら転校生に夢中なようなので、うっかり気を抜いていた時だった。言い争っていた会長達とふいに目が合った。...げっ。
「.........コイツ.........よく見たら、俺の親衛隊の鳴海彰じゃねぇか.........何でこんなヤツがここにいる」
「...まったくです。まさか、私の可愛い雪に何かしたんじゃないでしょうね」
露骨に顔を顰めてくるのがうざすぎる。俺だってお前らに会いたくなんかねぇよ。
つうか何かしたのはお前らだろと言いたい。見たくもねえもの見せられて俺がどんだけ不快だと思ってやがる。
そんな俺の気も知らず、チャラい会計も会計でヘラヘラしたままではあるが、絶え間なく俺の様子を窺っている。
......なるほど、揃いも揃って俺が嫌いか。ありがたい事だな。
「.........真樹、行きましょう」
「え、もう!?」
「もう十分でしょう」
「えぇ......もうちょっと見たかっ............うーん......わかった、行こうか」
「あ、ま、待てよ!!名前!」
.........しつこいな転校生.........察しろよ、生徒会のヤツら、露骨に早く消えろって顔してんだろ。
「......オイ、貴様。俺のモノに手を出したらただじゃおかねぇからな。...つうか近づくな」
「俺様野郎、変な事言うなよ!俺はお前なんかよりコイツと仲良くなりたいんだよ!!」
「コイツはダメだ」
「余計なお世話だ!!」
「ですが、本当にこの人は危ないんですよ。私達は貴方のためを思って.........」
「.........失礼します」
こんな場に一秒でもいたくない俺は真樹を促し、立ち去ろうとした。
「.........雪に制裁とかしやがったら、潰すからな」
念を押すように俺の背中に声をかける会長。...安心しろよ、そんな無駄な事金積まれてもしねぇよ。
俺はそれをちらりと一瞥してから、無言でその場を後にした。
人通りの少ない廊下を真樹と並んで歩く。やっと静かになった。
「いやー、やっぱり王道はいいな.........でも、いつ彰がキレるかってひやひやしてたわ。よく耐えたな」
「当たり前です。そんな浅はかな事しません。あんな人達に構うだけ時間と労力の無駄というものです。私はそんなに暇でも愚かでもありませんので。だいたい、あれに応戦していたら私もあれらと同じレベルだという事になるじゃないですか。笑えないですよ」
「.........あは、やっぱりキレてんじゃん」
当たり前だ。腹立つ。
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