伏兵参上

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「……お前、顔赤いぞ」 「……!!」 顔を見つめながら指摘してやると、咄嗟に手で顔を覆い隠される。 微かに、じっくり見ないとわからない程度だが顔が赤らんでいたのは事実だ。 「なるほど……感謝されなれてねぇのか」 「別に、そんな訳」 「じゃあ何でこっちを見ない?別に平気ならこっちを見ればいいだろ」 「……何で顔を見る必要があるんだよ」 「人と話す時は相手の目を見て話す。常識じゃないのか?それともお前はそんな当たり前の事もできないのか?」 「……………………アンタ、趣味悪すぎ……」 俺の言葉に少し躊躇うような素振りを見せた鳴海が手をどけて僅かにこちらに顔を向けた。 その顔はやっぱりうっすらと赤く染まっていて、不機嫌そうに歪められた顔で俺を睨み付けている。 「………やっぱり赤いじゃねぇか」 「……赤く、ない。ちょっと火照ってるだけだ。……そのニヤケ面今すぐやめろよ、胸糞悪い」 顔を赤らめているのもそうだが、是が非でも認めたくないのか俺を威嚇するように睨み付ける姿が何だか無性におかしくて思わずにやけてしまう。 「…………クソ、アンタのせいで気分が悪くなった」 そう言うと、席を立って部屋から出ていってしまう。 怒らせたんだろう。自分の恥を極端に嫌っていそうな性格だし。 …………でも、あの顔は……流石に……露骨だな。 表情をあまり変化させたりしないから、大人っぽいヤツだとは思ってたが…… ああいう所見ると、やっぱり年相応なんだなって改めて実感した。 ……つうか、あの流れで出ていったらそれはもう肯定してるようなものだと気づかなかったんだろうか。 「…………可愛いな」 俺以外に誰もいなくなった部屋で無意識にそう呟いた事に俺は気づかなかった。
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