伏兵参上

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こうして俺はこの鳴海組で生活する事になった。 正直、最初の方は何で俺がこんな事を……と思う事も多々あった。 だけど、ここでの生活は新しい発見や驚きに満ちていて、毎日がすごく充実していたと思う。 ……あんなに大勢で飯食ったのも初めてだしな。 ある時聞いた事がある。 「……お前の下の名前……彰、だよな」 「……いきなり何だ」 「……その……彰。………………って!呼んでもいいか…?」 「……何で」 「いや、その……ここで世話になってんのに俺はいつも、オイとかお前とかしか呼んだ事なかったから……その、ダメなら別に」 「好きにしろよ。……俺はお前の名前は呼ばないからな」 「本当か!?……あ、いや、じゃあ…………彰」 「…………用もなく呼んだらぶん殴るからな」 名前を改めて呼んでみると……彰、はふいっとそっぽを向いた。 …………ここで暮らし始めてわかった事が一つある。コイツは照れると顔を隠そうとする。 無意識なんだろうが、照れた所を見られたくないのか恥じらう所もいじらしくて、また可愛いな…と考えてしまう。 10近く下の、それも男相手に可愛いというのもおかしな話だが、ふとした時に考えてしまうんだよ。 ……ヤバイな、大分キテるみたいだ。
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