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それから俺達は三人で長い間話し合った。
今までの時間を埋めるように、たくさんの話をした。
楽しかった事、嫌だった事、色々な事をたくさん話した。内容はとるに足らない事だったと思う。
でも俺達にとってはかけがえのない時間になった。
そして落ち着いた頃に俺は二人に切り出した。
家は継がない事を。それから、本当になりたい仕事について。
俺は昔から勉強が得意だったというのもあるが、人に教える事が好きだった。
高校教師になりたいんだと俺が話している間、父さんは何も言わずに俺を見つめていた。
すべてを話し終えてから、父さんはただ一言、よく話してくれたなと言った。
それから、俺の人生だから俺が決めていいのだと、やりたいようにやりなさい、と。
ああ、彰が言っていた通りだ。父さん達が強制した訳じゃない。俺が決められなかっただけだ。
俺がもっと早く決めていたら、こんな風に家族で話していたら、何か変わっていたかもしれない。
俺が家を出たり、怪我をしたり、父さん達に心配をかける事もなかっただろう。
でも、それだと彰には会えなかった。だから、これでよかったんだと思う。
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