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担任と別れてから、しばらく歩いて、やる事もなく暇な事を思い出した。
怪我の調子は大分いい。まだ完治はしていないが、元から傷が残らない方だから、数日したら綺麗に消えるだろう。
廊下を適当に歩いていると、目の前にフードを目深に被った怪しいヤツがいた。
顔までは見えないが、ここの生徒じゃないだろう。
……何でこんなに面倒ばかり起きるんだ。何なんだ、そんなに俺が嫌いか。
ため息をつきながらゆっくりソイツに近寄っていく。一応少し距離をとってから、声をかける。
「そこの貴方。部外者がこのような所で一体何をしているのですか?」
「……」
俺の声に反応したようなソイツが勢いよく振り返る。その反動か、被っていたフードの下から金髪と赤いピンが見えた。
「…………お前……」
「……その声…………若?……若ぁぁああああぁぁああっ!!!!」
いきなり飛びかかってきたソイツが誰なのか認識した俺は容赦なく踵落としを食らわせた。
「……何やってんだ、八雲…」
「若……俺の事を覚えていてくれたんですね!!俺、感激です…!!久々の再会に涙が止まらないっス!!」
そう叫びながらがばっと起き上がるコイツの生命力の高さは相変わらずだ。
コイツは神永八雲。鳴海組の一人で……幼い頃から一緒だから、幼なじみみたいな、兄弟みたいなヤツだ。
年は俺より上で、今ちょうど20歳のはずだ。言動のせいで幼くみられがちだけどな。
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