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「……八雲……一応自己紹介しとけ」
「……あ……神永……八雲です…」
「おっけー、八雲な。俺は真樹。よろしくな」
「あ、よろしく……っス」
馴れ馴れしく八雲の手をひったくり握手をする真樹を他所に、八雲は助けてくれと言わんばかりの顔で俺を見ている。
「……真樹、八雲は」
「皆まで言うな。……これ一度言ってみたかった。……じゃない、わかってるって。言わなくていいから。時期が来たらでいいよ。大丈夫、待ってるから」
……真樹はやっぱりなんだかんだで物分かりがいいな。
「だから、今すぐ二人で絡め。オラにホモを分けてくれ」
さっきの自分を殴りたい。全然物分かりよくねぇわ。ていうか、やっぱり頭おかしいだろコイツ。
「私や八雲を貴方の妄想に巻き込まないでください。大変迷惑ですから。八雲は私の……そうですね……幼なじみというか…」
八雲はいきなりの俺の口調の変化に驚いたのか、ぽかんとした顔で呆けている。
「幼なじみ?あらやだ、何その魅惑の響き。昔から一緒にいる家族みたいなアイツに抱いた親愛以上の感情ってな展開ですねわかります」
「ですから、確かに八雲は家族のようなものですが……」
「若……家族だなんて嬉しいっス…!!……俺には勿体ないお言葉……」
「……はい。……で、八雲は家族のようなものですが、私は八雲に」
「本当は家族以上の関係になりたいのに今の関係が崩れちゃったら……って考えちゃって中々行動できないんだよな。わかるよ、彰。それが恋だよ」
どいつもこいつもそんなに人の話を遮るのが好きなのか。
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