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「……あれ、そういや八雲ってどこの部屋に入るの?」
「で、できれば若と……その…」
「ってよ、どうすんの?」
「いい。俺の部屋に来い」
「!!……若……何てお優しいお言葉……!……俺にはもったいないお心遣い...!……俺、この日を一生忘れません……!……若との新たな記念日として記させていただきます……!」
何故か感極まったように瞳を潤ませた八雲が、手帳らしきモノを取り出していそいそと何かを書き込んでいる。
「すごい喜び様だなー……にしてもさ、彰……他人と一緒に生活なんて嫌だって言ってなかったっけ?」
「八雲が他のヤツと同室になってうっかり口を滑らせるよりマシだ」
「ああ、そういう……何て言うか……色々不憫な子なのね……」
少し悲しげに八雲を見つめていた真樹がふいにこちらに目をやる。
「………あのさ……俺も、いつかここ泊めてよ」
「……お前にはちゃんと部屋があるだろうが」
「えー、いいじゃんー!…………………………俺は、ダメ?」
「?……この部屋はお前の部屋と同じ造りだから目ぼしいモノはないぞ?」
「そうじゃないよー」
真樹が何故そんな事を言い出したのかまったくわからない。
何だ?そんなに俺の部屋に気になる場所があったのか?……まさか……
「別に心配されなくても飯なら三食キッチリ食べてる。面倒だけどな」
そう言うと、真樹は一瞬俺を静かに見つめた後柔らかく微笑んだ。
「......それなら安心だなー!いやー、八雲と彰の濃密な絡み生で見たかったんだけどなー。さっすが彰、ガード堅いなー…視姦プレイは嫌いかー」
「そんなものねぇよバカ」
……相変わらず欲にまみれたヤツだな……真樹は八雲に後ろから飛び付くと、八雲の手帳の中身を勝手に見ていた。
八雲はやめて欲しがっているようだが、俺の知り合いだから迂闊に手が出せないのか、されるがままだった。
だから俺は静かに真樹の頭を後ろから振り抜いてから八雲に手帳を返してやった。
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