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それから今に至る。
何故かその瞬間から固まってしまった橘を何とか部屋に通し、座布団に座るように言っておいた。ソファー...は、少し話しにくいか?
俺の部屋には紅茶しかない訳だが…………まあ、橘にはミルクと砂糖を山程入れとけばいいか。
とりあえず紅茶を淹れ終わった俺は、二人分のティーカップを持って橘の元へ向かう。
橘は何故か正座をして、背筋をピンと伸ばした姿勢のまま固まっていた。見たことがないぐらい汗をかいている。……何だ?空調効きすぎか?
何やらその状態でぶつぶつと何かを呟いている。よく聞こえないからまあいいか。
「橘さん、ミルクティーは飲めますか?」
「あっ、ああ……」
「どうぞ。お口に合うかはわかりませんが……」
「あっ、ああ……ありがとう…………いっ……いただきます……」
また上の空……というか、俺と一切目を合わせない橘がティーカップを口元へ持っていく。
思わずその様をまじまじと見つめてしまう。……砂糖とか大丈夫か……?
「…………………………………………んっ!?…………こ……れは……」
「……やはり、甘すぎましたか?砂糖を入れすぎたようでしたら、淹れ直しますので遠慮なく言ってください」
「いや、そんな事は……むしろ、ちょうどいい…………だが、何故、俺が……その…………あ、甘党、だと……?」
「……え?…だって…以前一緒に仕事をした際におっしゃってましたよね?甘党だと……」
あの時確か、コーヒーはただの苦い黒い水だって言われて大笑いしたんだよな。
なんて考えていると、ふと視線を感じてそちらに目をやると、橘が俺を見つめていた。
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