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今日だって何ならたまたま気が向いたからだ。普通なら他人を部屋にあげたりしない。
雰囲気が柔らかくなった……か。自分では全くそう思わないが…………そうなのか?
確かに最初よりかは橘を含めた生徒会に対して嫌悪感が薄れ始めたのは認める。
その中でも橘は最初から俺に対して否定的ではなかったし、むしろ好意的だったと言ってもいいだろう。
……そんな橘だから、あげてしまった……のか?……これが他のヤツだったら……
黙って考えこんでいる俺に気づいたのか、申し訳なさそうな顔をした橘が俺を見つめる。
「……突然変な事を言ってすまない……あまり深く考えないでくれ。ただ、前よりだな……その…鳴海が…話しやすくなった、というか……他人に対して壁を薄くしたように感じてな。皆も前よりも鳴海に話しかけやすくなったと言っていた」
「…………はぁ……そうですか……」
「…………だから、複雑なんだがな」
「……え?何か言いましたか?」
「あ、いや、な、何でもない…。気にしないでくれ。…………すまない。俺は自分でも気づかないうちに随分と性格が歪んでしまったようだ」
自嘲気味に笑う橘を見て、言っている意味がわからなくて思わず首を傾げた。
「橘さんの性格は歪んでないですよ?最初から私に対しても噂を鵜呑みにせず接してくれましたし……少なくとも私は生徒会の中では橘さんが一番人間ができていると思いますし。それに、橘さんが一番話しやすいですね」
「!!!っ、そ、それは、本当、か!!!?」
特に何も考えずに発言した言葉に思った以上に食いつかれて戸惑う。
………何だ?何で橘はこんなに食い気味なんだ?
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