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「あの……私が変わった、という話の続きですが…………橘さんも、変わりましたよ」
「え?お、俺もか……?」
「ええ。転校生が迷惑をあまりかけなくなった事が大きな理由かもしれませんね。少し晴れやかな顔になりましたし、笑顔が増えたように感じます。以前の橘さんはもっと疲れきった顔をしていましたから」
「俺が…………そう、か…………しかし、それに転校生は関係していないと思う」
「……そうなんですか?てっきり、転校生のせいで回ってきていた激務から開放されたからかと思っていました」
「確かにそれも多少はある。だが、一番大きな理由は、鳴海、お前だ」
「わた、し……ですか……?」
「ああ。……俺は、転校生が嫌いだった。いつも仕事の邪魔をするし、生徒会室に来ては騒ぎ立てるし……本当に迷惑極まりないヤツだったからな」
……そんなに酷かったのか。俺だったら我慢できないな。一発ぶん殴ってるだろう。
「だけど……こうして、しばらく経った今となっては前ほど嫌う事ができない自分がいる。転校生に対する嫌悪感もほぼ消えたと言ってもいい」
「?……どういう事ですか?」
つまり結局転校生は関係しているのか、いないのか?何だか回りくどい言い方をするな……
「でもそれは、お前に出会えたからだ」
予期しない言葉に、再び質問をぶつけようとしていた口を開いたまま、橘を見つめる。
俺に、会えたから?……どういう意味だ?
橘の言葉が意味するものがわからず戸惑う俺を気にせず、橘は再び口を開いた。
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