不可解暗躍

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「.........おい、鳴海.........貴様は.........この薔薇達をどう思う?」 ふいに薔薇を見つめながら会長がぽつりと呟いた。 いきなり何だ.........?.........綺麗ですねってべた褒めでもしてほしいのか? 「綺麗だと思いますよ。.........薔薇は好きではありませんが」 っと.........少し本音が漏れた。.........会長怒るんじゃねぇか.........? 自分の失言に口をつぐむよりも早く、会長がこちらを向いた。 「.........何故だ?」 俺が嫌いだと言ったことが気にくわないのか、今度は訳を話せと言う。 .........怒鳴り散らさないのか? 「.........ここにある薔薇達はとても美しく咲いています。高さや葉の数、トゲ.........何をとってもきちんと整えられていて.........会長がいつも熱心に世話をしているのだとわかります」 「なら、何故.........」 「ですがそれだけです」 「っ、?」 「確かに手入れの行き届いた花は美しい。ですが所詮は作り物。自然の美しさには敵わない、と思います。手を加えなければ、不恰好かもしれない。薔薇は繊細ですから病気にかかるかもしれません。.........私は花の事はよくわかりませんが、私はそれでも自然なものが一番だと思います。何かに意図的に手を加えられたものよりも劣るでしょう。.........ですが、薔薇達が精一杯自力で咲く.........というのもあってもいいのでは?」 花については本当にわからない。手を加えるな、なんて無理な事だろうというのは薄々わかる。さっきも言ったように、薔薇は繊細だと聞いた事があるから。 それでも、例え見栄えが悪くても、すぐに枯れてしまおうとも、自分の力でその一瞬を美しくあろうとする姿が一番綺麗なんじゃないかと思う。 .........って、何で俺はこんな事を話してるんだ.........それも会長相手に。 .........花好きが聞いたら呆れるかもな.........でもこれはあくまで俺の意見だ。
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