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親衛隊室で仕事をしていると、控えめなノックの音が響く。
「どうぞ」
「し、失礼します」
そう言って入ってきたのは隊員数名。何か怯えてるのか、一様に挙動不審に目線をさ迷わせている。
「どうしました?」
さっきから喋ってるの誰かって?...俺だな。
キャラ作ってんだよ。こういうキャラのが何かと動きやすいしな。
「あ、あの、鳴海様......大変ですっ!」
「ですから、どうしました?」
「あ、明日この学園に転校生が来るんです!」
「......それが?」
「それが、ソイツは編入試験を全教科満点で合格したんです!!」
......そんな簡単に満点が取れるのか。この学園の編入試験、確か難しいんじゃなかったのか...?
「だから生徒会の皆様が興味をお持ちになられて......明日見に行こうって。......普段、何にも興味を持たれない皆様が......」
隊員達は今にも泣き出しそうに顔を歪めている。生徒会の気まぐれな行動に一喜一憂して忙しいヤツらだ。
「落ち着きなさい。まだ何も起こってないうちから心配しても無駄でしょう。それについてはまた後日、実際に転校してきてからでないと、どうにも出来ません。対策も立てようがないですし...今日はひとまず帰りなさい」
俺がそう言うと、隊員達は軽く肩を落として帰っていった。
「......はあ...」
「彰、お疲れじゃーん」
そう声をかけてきたのは、俺のこの学園での唯一の友人........という事になっている、クラスメートの櫻井真樹だ。
コイツは腐男子とかいうものらしく、いつもふざけた妄想ばかりしているが、意外とドライな性格のため側にいても気疲れが少ない、という点のみで行動を共にする事が多い。
それに中々能力値も高く、無闇に何でも詮索してこない所はそこそこ気に入っている。.....まぁ、だからといってつるみたくて一緒にいる訳じゃないが。
ふと気づいたら、いつのまにか行く先々に勝手についてきて、今では当たり前のように行動を共にするようになっていた。
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