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俺は会長を何とか退かせないものかと思い、会長の胸を思い切り押し返すが、無駄だった。
その間にも、会長は俺の首元に唇を寄せて生暖かい息を吹き掛けてくる。
吐息が首筋をくすぐるたびに言い様のない不快感が全身を駆け巡る。
………っ、気持ち悪ィ……!!
「……貴様は中々力はあるようだが……俺程じゃないな」
「っだから何だよ!?俺は武器を使うスタイルが主体なんだよ、丸腰で挑んだりしねぇ!!」
「……そうか。でも今の貴様は武器を持たない、だから俺には勝てない。お前でもそれくらいわかるだろ?」
.........そんなの、わかってんだよ。だけど、だからって黙ってされるがまになってろってか...?...冗談じゃねぇよ……!
「っ……なせ……」
「......何か言ったか?」
「っ、離せっつってんだろうが、この...クソ野郎が!!!!!!!」
俺は会長の腹に力の限り蹴りをいれた。その反動で、会長が俺から少し離れる。...瞬間、俺は会長を突飛ばし振り返らずにその場を走り去った。
突飛ばされ地面に座り込んだ会長は一人、しばらく、彰が出ていった出入口を見つめていた。
「………………っはは……………………………口調、素が出てんぜ…………なあ、隊長くんよぉ……?」
俺がいなくなって閑散とした薔薇園に一人残された会長が、座り込んだままひっそりと笑っていた事を俺は知らない。
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