不可解暗躍

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会長を振り切ってから、校内を早歩きで突き進む。真っ直ぐ自分の部屋に向かい、到着するやいなや洗面所へ向かった。 そして制服を上だけ脱ぎ捨てると、首元に荒々しく水をかけ、皮膚が剥がれそうなくらいに強く擦った。 「っ、あの野郎……気色悪い事しやがって……!!」 しばらく洗い続けてサッパリした所で、まだ不快感は拭えていないものの、ひとまず洗面所を後にした。 そのまま制服も着ずにベッドに横になる。そして今日の事をもう一度振り返った。 制裁されたらしい水嶋。でも撃退した……って言ってたな。元総長は伊達じゃないってか。 それに会長。思い出すのも腹立たしい。いきなり話しかけてきたかと思えば、態度を急変させやがった。 信じたい……と。噂で判断しないと言われたのは、橘を合わせると…二回目、になるのか。……でも、会長は橘とは違う。 「………っ、何だってんだよ……」 俺はさっきの会長の行動が全く理解できなかった。......何故会長はいきなりあんな事を?この間まで、俺が視界に入るだけで煩わしいって感じだったじゃねぇか。 気持ちは俺も同じだし、嫌われてるから関わってこねえのが好都合だった。 ……まさか、俺が本当に会長の事を好きじゃないのか確かめようとでも…?さっきの、状況。もし、アイツを好きなヤツだったら喜んだんだろうか。 ......だとしたら、あれで理解できただろ。俺が会長なんか本当に好きでも何でもないと。むしろ、好意の欠片すら持っていないと。 …………二度と会いたくねぇ。あんな野郎。 無意識に、首の辺りを触りかけ、力無く手を下ろした。......クソ、やっぱりもう一回くらい殴っておけばよかった。 怒りがおさまらないまま、俺は今日あった事を忘れようとするかのように眠りについた。
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