日常微変化

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「ほお…残念だな…じゃあコレも忘れたのか?…ん?」 鳴海の首筋に指を這わせ、キスマークがあるであろう位置でぴたっと指を止め、そこを執拗に撫で回す。 「…何の事でしょうか?」 顔がうっすらと赤くなっている事に気づいていないのか、まだ惚ける鳴海が面白い。 「…ふ…ここに俺の所有印をつけられておきながら惚けるとは…つれないな、鳴海?」 いつもは見せない表情を見て思わず顔がニヤけてしまうのを感じつつそう言えば、その顔は更に赤く染まった。 「…寝言は寝て言え。クソ野郎」 それは昨日初めて聞いた、いつもより低く口の悪い鳴海の声。 「…んだよ、そうやって話せんじゃねぇかよ」 「うるさい気安く触んな色情魔。変なものがうつったらどうしてくれんだ、死ね」 普段の丁寧な口調からは想像もできないような口調に無意識に顔が綻ぶ。 「っふ…ははっ!!…相変わらずだな…ま、そこがいいんだが」 「Mに目覚めんなら他所でやれ、変態」 「…こんな事言われてイイのは鳴海だけだな」 「そうかわかった死ね」 「無理だな。鳴海を俺のモノにできたら死んでやるよ」 「一生無理だから今すぐ死ね 」 鳴海の素の口調に喜んだのも束の間、今度は挫けそうだ。 「…おい、流石にへこむぞ?」 「本望だ」 そう言ってみても、返ってくるのはつれない一言だけで、もどかしく感じる。
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