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「…ったく…ツンも大概にしろよ、鳴海」
「っ誰が」
「あ、あのっ!!」
ふいに聞こえた声の方を向けば、何やらものすごい顔でこちらを見つめるヤツがいた。……アイツ、あんなに顔汚かったか?
「お、お2人の関係を詳しくッ教えてくださいませんか!!」
「ん?ああ…」
「変な事聞かないでください、真樹…貴方から先に始末しますよ」
「ひいっ!?…い…いつになく強い殺気…これは相当な…ぐふ腐」
鳴海がソイツの名前を呼び、親しげに話し掛けた時、胸が少し痛んだ気がした。……何故?
「…まあ、いい…今日ここに来たのは鳴海に絡むためじゃない」
これ以上二人が会話するのを見ていられなくて、そう前置きをすれば二人はこちらを向いた。
そこで鳴海に向けて頭を下げる。その途端、騒がしかった学食が静まり返り、辺りから痛いほどの視線が突き刺さるのを感じた。
「……何のつもりです?」
頭上から聞こえるのは訝しげな鳴海の声。
「…俺が疎かにしていた仕事を橘と鳴海がしてくれたと橘に聞いた。…今こんな事を言っても無駄だとわかっている…でもどうしても一言言わせてほしい」
そこまで言って、また更に深く頭を下げた。
「すまなかった。…学園のトップともあろう俺が一個人にうつつを抜かし、仕事を疎かにするなんてあってはいけない事だ…今後2度とこのような事は起こさない。本当にすまなかった…そして、ありがとう」
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