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俺が頭を下げて謝罪の言葉を口にしてからも、一言も言葉を発さない鳴海。……もしかしてやっぱり無茶苦茶キレてんのか……!?
恐る恐る顔をあげて鳴海の顔を窺うと、何やら微妙な顔で固まっている。まさか怒りのあまり……?
「…こんな事言ったくらいで許してもらおうだなんて甘い事考えちゃいねぇ…ただ…これからの俺の態度でわかってほしい…俺はこれから、前以上に励むつもりだ…だから…」
普段何かあっても滅多に謝る事なんかない俺だが、今回は素直に本心から謝った。
相手にどう思われてもいいし、大概のヤツは謝らずとも許してくれる事を知っていたからだ。
だが、鳴海は違う。何となく、迷惑をかけたまま流したくなかったし、これから改めるつもりだとちゃんと知ってほしかった。
「…会長が、わざわざここに来たのは……それを私に伝えるためだったのですか…?」
しばらくの沈黙の後、鳴海が発したのはそんな言葉だった。
「……そうだ。……なのに、いきなり失礼な態度をとってすまなかった」
「…………もう、いいです」
「………え?」
いきなりの言葉に驚いた俺が鳴海の顔を見つめると、そこにあったのはいつもと変わらない無表情だった。
「…私は別に気にしていません。…会長がこれから改めてくれるのでしたら言う事もありませんし」
「……だ、だが…」
それでいいのか、と問い掛けそうになった俺を遮るように再び鳴海が口を開いた。
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