油断大敵

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扉の隙間からひょこっと顔を覗かせたのは雪だった。 「皆、今忙しいか!?」 雪は変装をやめてから少し変わった。 今まではいきなり来て問答無用で俺達を遊びに連れていこうとしたりしてた。 でも今はこうやって俺達の都合を伺ってから、俺達を遊びに誘う。 もし都合が悪かったり忙しかったりしたら、素直に帰るか生徒会室のソファーで静かに待っていたりする。 そんな時、時折嬉しそうに笑っていたり、眉間に皺を寄せていたり……そういや、雪も変だ。 そしてしばらくして、俺は今日の分の仕事を終わらせた。 他の皆はまだみたいだが、このまま雪を1人で待たせるのもな…… それに綾乃は何故かは知らないけど雪の事が嫌いみたいだから。 今だって無意識なのか嫌そうな顔で雪を見つめたりしている。綾乃があんなに露骨に人を嫌うのは珍しい。 「……怜、しばらく出ていいか」 「……………………あ……陸か……いいぞ、行ってこい」 上の空だった怜が少し遅れて俺に気づいて視線を合わせた。 「わかった。……雪、行こう」 「陸、遊んでくれるのか!?やった!」 俺が声をかけると目に見えて嬉しそうな顔をする雪は見ていて微笑ましい。 俺はホモじゃないし、ホモの気持ちもわからないしわかりたくもないし、雪に対してやましい気持ちもない。 でも雪のあっけらかんとした態度や、何かを取り繕ったりしない、ありのままな所が好きだ。 ………………そういえばアイツも俺達に対して、変に態度を変えたりしないよな………… …………クソ、何でまた……アイツの事考えてんだよ…… 頭に浮かんでくる事を振り払うように頭を振った俺は、雪と生徒会室から出た。
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