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雪と並んで廊下を歩く。人気のない廊下に雪の鼻歌が響く。
「最近生徒会の皆は仕事熱心だな!遊べなくて少しだけ寂しいけど、皆頑張ってるから邪魔はしたくないしな!」
そう言って笑う雪の言葉を聞いて、雪にもわかるほど今の生徒会が何だか妙なのかと思った。
「……雪もわかるか……?」
「おう!!」
「雪……あの……生徒会をどう思う?」
「生徒会って……陸や怜達の事か?」
「ああ」
「生徒会の皆は大好きだ!俺と遊んでくれるしな!」
……ほら、雪は好きだって言ってくれる。……あんなヤツとは大違いだ。
雪の言葉に安心しかけた時、雪がふと立ち止まる。
「でも彰の事はもっともーっと大好きだぞ!彰は初めて茜に会った時も助けてくれたし、俺が親衛隊に襲われないようにアドバイスくれたし……彰はいっぱい俺を助けてくれたんだ!!……それに、綺麗なのに、どこかカッコよくて……頼もしいのにたまに守ってあげたくなるような時もあって……とにかく大好きだ!!」
雪の言葉に思わず固まった。
雪が鳴海を好きな事に驚いたのもある。けど……
雪が語る鳴海との話。助けてくれた?アドバイス?守ってあげたくなる?
……そんな鳴海、俺は見た事がない。
俺が見た鳴海はいつも無表情で他人に興味が無くて、余程必要がないと人に関わろうとはしないヤツだ。
……雪は、鳴海の色んな顔を知ってるのか?……笑った顔、とか……?
……何だ……俺は何を考えてる?
雪が鳴海なんかを好きだから?……それとも…………何だってんだよ。
「……く………………陸!」
俺を呼ぶ雪の声にハッと我にかえって雪に目をやると、雪が心配そうに俺を見ていた。
「どうしたんだ?いきなり難しい顔して……今日の陸何か変だぞ」
「……い、や、何でもねぇよ…それより、今日は何をする?」
「えっと……じゃあ」
「大変ですっ!!」
いきなり走って俺達に近づいてきたのは、背が低い女みたいなヤツ。……確か雪の親衛隊の……
「どうしたんだ?」
「た、大変ですっ……!!…せ、正門の所に、雪様を出せって怖い人達が……!!!」
~生徒会会計 藤堂陸side end~
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