油断大敵

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「てめえ、いきなり出てきて調子こいてんじゃねぇぞコラァ!!いい加減にしねぇと後ろの優男共も含めて全員ボコボコにすんぞアァ!?」 「それは遠慮します。……彼らは素行はあまりよろしくないとはいえ、この学園の代表であり、大事な生徒の一員です。…………ですから、貴方達に手を出させる訳にはいきません」 「「「「「ッ…………!!」」」」」 「……もう一度だけチャンスを差し上げます。お引き取り……願えますね?」 「誰がするかボケ!!」 …………俺は何度も忠告してやった。聞かなかったのはコイツらだ。 俺は不良達の中でも一番見た目が派手なヤツに近づき、小さな声である事を囁いた。 「……ッ……ひ…ひぃいいぃいいっ!!!!」 「ま、まさやん!?」 いきなりその場に崩れ落ち、怯えた顔で俺を見つめているそいつと周りのヤツらに言い聞かせるように静かに声を出した。 「……私は貴方達の秘密を知っています。他言されたくなければ、大人しく帰っていただけませんか?」 「はあ……?……んなバカな」 「う、うぁああアァあああっ!!!!!!!!」 「あ、オイ、まさやん!?…………てめえまさやんに何しやがった!?」 いきなり喚きながら一人で逃げ出したそいつを一瞥した後、多少の怯えの含まれた視線をこっちに向けてくる不良達。 「何って……あの方が他言されたくないであろう秘密を教えてさしあげただけですが」 「……じ、じゃあお前は本当に俺達の……?……そ、そんなデタラメ」 「……八木健太郎、19歳。身長175㎝、体重は61㎏。両親が離婚されて、家族は今はパート勤務の母のみ。趣味はバイクをいじる事、休日はバイクで仲間と遠出する事が多い。…………ああ、貴方でしたか。噂の男は。随分と困った方ですね……ある癖をお持ちなんですね。そして先日もその癖のせいである暴力団と関わりをお持ちになられたようで……組員の方の」 「や、やめろっ……やめてくれっ……!!」 俺の言葉を遮ったそいつは頭を抱えて地面に座り込み、徐々に震えだした。 その異様な光景に周りにいたヤツらがざわめき出す。
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