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FIRST STEP 始まり
「一!」
背後からの聞き覚えのある声に少年―結城 一は反応を返す。
黒髪の短髪で身長は約180cmと高く、誰も寄せ付けないオーラと共に、目つきはキツク輝きを失っていた。
「今日はえぇ天気やなぁ。」
一を呼んだ少年―推邊 琉璃也は一の横まで駆け寄るとそう問いかける。
一方こちらの少年は160cmと小さめで、髪は金髪、瞳は両親がハーフゆえに青色で、人なつっこい小動物を連想させる。
ネクタイの色が違うことから、学年は琉璃也のが1つ下だろう。
琉璃也は先月彼女を亡くし、完全に心を閉ざした一が唯一家族以外で喋れる親友だった。
「…。」
一は何も返さない。
それが彼らなりのスタイルでもあった。
小さい時に父親を亡くした一は、必要最低限しか人と関わらない…いや、関われなくなっていた。
琉璃也は小学校からの付き合いとはいえ、キチンと一の事を理解していた。
「なぁ、今日どっか遊びに行かへん?せっかくえぇ天気やし。」
「…気分じゃない…」
「さよか。ほならまた今度にしよか。」
強要はしない。
ただ、琉璃也は信じて欲しかった。
一は何も悪くないと。
(そのためだったらオレは何でもしてやる。)
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