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今日も赤いリードを彼の銀色の首にくくりつけて、散歩に出かける。
散歩といっても、俺が経営している会社との往復だ。
家から新宿まで彼を引きずり、
そして新宿から家へ彼を引きずる。
躾の行き届いた犬ではあるが、彼は殆ど歩かない。
俺がリードを引きずるのに任せて、彼も引きずられるだけだ。
まあ、軽いから良いのだが。
そうやって歩いていると必ず人は俺と彼を凝視する。
なんて失礼な奴等なんだ。
例えどんなに彼が良い犬だったとしても、凝視することはないだろう。
たまに俺は振り返って彼がきちんと引きずられているか確認する。
なんせ軽いからね、心配なんだ。
そして彼を見つけると、ほっとして、また歩き続けるんだ。
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